皮膚

皮膚

ヒアルロン酸

皮膚は外界と体内の境界にあり、身体を保護している。
皮膚(表皮及び真皮)にはヒアルロン酸が含まれている。ヒアルロン酸は角質層の下の表皮に細胞と細胞の間にセメントのように埋まっていて、2~3日で皮膚全体の半分が置き換わる。ヒアルロン酸は N-アセチルーD-グルコサミンとD-グルクロン酸が交互に縮合した平均分子量100万~1000万の重合体。ヒアルロニダーゼで加水分解される。動物組織に広く分布し、他の酸性ムコ多糖と共存。臍帯、関節液、牛眼のガラス液、鶏冠に多い。
ヒアルロン酸は水になじみやすく、1gのヒアルロン酸は1リットルの水に網目のように広がる。細胞と細胞の間に存在してクッションのように細胞を保護する。

皮膚は老化によりハリ(粘弾性)が減少し、皮膚の厚さ(体積)も減少し、水分量も低下する。これらのことからシワが発生する。ヒアルロン酸は加齢とともに減少する。老化した細胞のヒアルロン酸合成能力は低下している。
最近、ヒアルロン酸受容体が発見され、細胞にシグナルを送っていると考えられ始めた。

上にヒアルロン酸は鶏冠に多く含まれていると書いた。キウイフルーツにはタンパク質分解酵素アクチニジンが含まれている。最近、アクチニジンを用いて鶏冠のタンパク質を分解してヒアルロン酸を取り出そうと言う試みがなされている。ある特許では、酵素名は分からないが、タンパク質分解酵素で分解してペプタイド状にしたタンパク質とヒアルロン酸を有する食品を摂取すると、ヒアルロン酸が体内でよく吸収されると言う。ヒアルロン酸は組織細胞の保水効果が高いため、老化に伴う体内での組織細胞の水分減少を抑えることができるとある。
ただ、この特許を読んでもヒアルロン酸が低分子になったとは書いてないようである。
特許の物質を飲むと、顔、手、足がしっとりし、ハリがあるようになったとあり、乾燥.肌荒れなどに顕著な改善が見られたとあるが、文献は引用していない。月経困難症の改善・軽減にある程度有効という。


コラーゲン
コラーゲンは動物の身体の細胞同士をつなげたり、細胞を身体の組織に定着させたりするタンパク質である。肌、骨、軟骨、腱などに存在しており、身体のタンパク質の30~40%を占める。皮膚では真皮に多く含まれ、皮膚全体の重さの70%を占める。3本鎖の繊維状構造になっていると言う。


セラミド
人の表皮は外側から、角質層、顆粒層、有棘層、基底層に分かれている。
新陳代謝を考えると、物質の流れは内部から外部へである。基底層から顆粒層の間で、スフィンゴシンを前駆体としてグルコシルセラミドが合成される。角質層ではグルコシルセラミドを前駆体としてセラミドが合成され、細胞間脂質となる。
細胞間脂質中のセラミドは加齢に伴い減少し、乾燥肌、皺、肌荒れの原因となる。
皮膚のセラミド含量は皮膚の健康と若さの指標であり、セラミドを補充することは皮膚の健康に重要である。

アトピー性皮膚炎患者のセラミド含有量は健常者よりもかなり減少している。すなわち、バリアー機能が低下してしまい、病原菌やアレルゲンが容易に体内に侵入するようになる。

皮膚の角質層、顆粒層には細胞間脂質の主成分として、40~60%のセラミドが含まれている。セラミドは、皮膚のもっとも外側の層にあり、水分の蒸散や外部刺激からのバリア機能の働きがある。すなわち、皮膚の保湿やアレルゲンの侵入防止を行なっている。

これまで牛の脳のセラミドが化粧品素材として使われてきた。現在は植物性のセラミドが使われるようになってきている。セラミドの含有量は、小麦0.01%、米ぬか0.02%と極めて微量である。最近、コンニャク芋に0.15%含まれていることが分かり、コンニャク芋からの抽出が行なわれるようになった。

(タンパク質のような分子量の大きな分子は胃腸管から吸収されないと言われている。アミノ酸かペプチドに分解されてから吸収されると言う。しかし、BSEの原因物質であるプリオンは相当大きな分子だと思うが、吸収されるようだ。吸収されるから感染するのだろうから。吸収の問題はまだ十分には研究されていない。キノコの多糖類の作用発現機構すらまだ分かっていないようだ。ちょっと前までは、植物は無機の養分しか吸収しないと言われていたが、最近有機化棒物も吸収されることが分かってきた。吸収の問題は非常に重要だが、未解決のことが非常に多い分野である。)

植物性セラミドは経口摂取で小腸から血管中に取り込まれ、代謝を受けることなく皮膚まで到達する。(EM Schmelz et al.:J. Nutrition,124(1994)702 8Uptake and metabolism of sphingolipids in isolated intestinal loops of mice) 


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